医療訴訟とは?流れや期間について弁護士が解説!
医療ミスによって、予期せぬ損害を被ってしまった場合、その責任を追及するために「医療訴訟」という手段を検討される方がいます。
しかし、医療訴訟は、一般的な裁判とは異なり、医学的な専門知識が不可欠であり、非常に複雑で長期化しやすいという特徴を持っています。
この記事では、医療訴訟の基本的な流れや訴訟にどのくらいの期間かかるのかについて解説いたします。
医療訴訟とは?
医療訴訟とは、医師や看護師などの医療従事者が、診療行為において注意義務を怠ったことにより、患者に生命、身体、または健康上の損害を与えた場合に、その損害賠償を求める訴訟のことです。
これは、単に医療行為の結果が思わしくなかった場合を指すのではなく、当時の医療水準から見て、医療従事者が行うべきであった適切な処置や判断を怠った場合に成立します。
医療過誤訴訟は、医学的な専門知識が必要とされるため、弁護士や裁判官も専門化が進んでいます。
訴訟の過程で、専門家による鑑定が実施されることが多く、専門委員制度が採用されることもあります。
この制度は、医学の専門家が裁判官をサポートし、専門的な争点を整理する役割を担います。
医療訴訟の流れ
医療訴訟は、一般的な民事訴訟の流れに沿って進行しますが、医療分野の専門性に対応するため、特有の手続きや運用が設けられています。
まず患者やその家族などの原告が、医療過誤の内容や損害額を記載した訴状を裁判所に提出することで、訴訟が開始されます。
そして裁判所は、訴状の副本を医療機関や医療従事者などの被告に送付し、被告はこれに対する反論を記載した答弁書を提出します。
その後、第1回口頭弁論期日が指定され、原告・被告双方が裁判所に出頭します。
次に争点整理手続に移行します。
争点整理は医療訴訟において最も重要な段階の1つです。
ここでは、訴訟の争点を明確にするための手続きが行われます。
医療分野の専門性に対応するため、以下のような特有の運用がなされます。
■書証の分類
患者のカルテや検査結果などの膨大な医療記録を整理し、争点に関連する重要な証拠を抽出します。
■診療経過一覧表の作成
複雑な診療経過を時系列で分かりやすく整理した表を作成し、裁判官が事案を把握しやすくします。
■専門委員制度の活用
医療の専門家である専門委員が、争点整理や証拠調べにおいて、裁判官に対して医学的な助言を行います。
争点が整理された後、証拠調べ手続きが行われます。
この段階も、次のような医療訴訟特有の手法が用いられます。
■集中証拠調べ
複数の証人を一度に尋問するなど、効率的に証拠を収集する手法です。
■鑑定
裁判所の命令により、中立的な第三者である医師が、医療行為の妥当性や因果関係について鑑定意見を提出します。
■カンファレンス鑑定
複数の専門家が集まり、意見交換を行いながら鑑定を進める手法です。
訴訟の途中で、当事者双方が合意に至れば、和解により訴訟が終了します。
医療訴訟は、この和解で終了するケースが非常に多いです。
和解が成立しない場合は、審理を継続し、最終的に裁判官が判決を言い渡します。
医療訴訟にかかる期間
医療訴訟は、専門的な争点が多く、証拠調べも複雑になるため、通常の民事訴訟に比べて長期化する傾向があります。
一般的には、口頭弁論や証拠調べが長期化しやすい過程と言えます。
■口頭弁論
数回の期日で終了する場合もあれば、争点の複雑さや証拠の量によって、終了までに数年かかることも珍しくありません。
■証拠調べ
医療訴訟では鑑定に要する期間が長くなることが多く、これが訴訟期間を長期化させる主な要因の1つです。
医療訴訟は、医学的な判断が求められるため、結論の予測が難しく、訴訟が長期化しやすい点に留意が必要です。
また、それに伴って弁護士費用も多額になる傾向があります。
医療訴訟は弁護士に相談すべき?
医療訴訟は医学や法学に対する専門的な知識が不可欠なため、医療訴訟に特化した弁護士に相談すべきです。
医療過誤の有無を判断するには、医学的知見に基づき、医療行為の妥当性や損害との因果関係を証明しなければなりません。
これは、一般の人が独力で行うのは非常に困難です。
弁護士は、専門的な証拠の収集や分析、複雑な法的手続きを代行し、訴訟を有利に進めるための戦略を立ててくれます。
また、医療機関との交渉を冷静に進め、適正な賠償額の算定もサポートします。
費用はかかりますが、弁護士なしで訴訟を進めると、時間や労力を浪費するだけでなく、敗訴するリスクが高まります。
まとめ
医療訴訟は、一般的な民事訴訟の流れに沿って進行しますが、医療分野の専門性に対応した特有の手続きが加わるため、争点整理や証拠調べが複雑化し、訴訟期間も長期化する傾向があります。
訴訟の途中で和解に至るケースも多く、判決まで至る場合は数年を要することもあります。
患者側は、こうした訴訟の特性を理解した上で、専門家である弁護士と協力して進めることが重要です。
医療訴訟でお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
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