退職金は財産分与の対象になる?計算方法は?
退職金の財産分与については、多くの人が気になっているのではないでしょうか。
退職金の扱いは婚姻期間中の共同財産として認められており、分与の計算方法は個別の事情で決まります。
本記事では、退職金の財産分与における具体的なケースと算出方法をご説明します。
退職金は財産分与の対象に含まれる?
退職金は給与の後払いとしての性質を持つため、給与から貯めたお金と同じように、婚姻中に得られた財産として扱われます。
既に受け取っている退職金は、結婚期間中に該当する部分が分与の対象です。
一方で、まだ受け取っていない退職金については、諸条件によって分与の対象外になることもあり得ます。
分与される金額は、婚姻期間や家計の状況などを詳しく検討して決められます。
すでに受け取った退職金の分与について
手元にある退職金の分与は、婚姻期間に該当する割合が分与の範囲です。
分与の取り扱い方は状況ごとに異なってくるので、以下の点に注意が必要です。
- 退職金を使い切っている場合は原則として分与できません
- 銀行口座で管理している場合、時間とともに退職金部分の区別が難しくなるため、通帳の記録で証明する必要があります
- 退職金部分を特定できないときは、口座に残っている金額全体が対象になります
まだ受け取っていない退職金の分与について
未受給の退職金を分与対象にするかどうかは、支給の確実性が重要な判断基準です。
以下の要素から総合的に評価されます。
- 就業規則や雇用契約書における退職金制度の有無
- 具体的な算定方法の明示
- 企業規模と経営状態の安定性
- 退職金支払能力の評価
- 定年までの残り期間(10年以上は確実性が低いと判断)
- 過去の勤務実績や転職歴
これらの要素を総合的に検討し、退職金支給の確実性が認められる場合には、財産分与の対象になります。
退職金の具体的な分与計算について
退職金の財産分与における金額の算出方法は、受給状況によって異なってきます。
具体的な計算例を用いて詳しく見ていきましょう。
受給済み退職金の計算方法
既に受け取った退職金の分与対象額は、結婚期間と勤務期間の割合から算出できます。
基本的な計算式は以下のとおりです。
【計算式】退職金総額 × (婚姻期間 ÷ 在職期間)
これから受け取る退職金の計算方法
退職金が未支給の場合は、以下の計算式を用いて計算することができます。
【計算式】(離婚時に想定される退職金)-(結婚時に想定される退職金)
結婚時の退職金の額が分からない場合は、次の式で計算することが可能です。
【計算式】離婚時に想定される退職金 × 結婚期間 ÷ 在職期間
さらに、定年退職時期が近い(おおむね5年以内)場合は、中間利息を控除する計算方法が用いられることもあります。
まとめ
退職金の財産分与について、基本的な考え方と具体的な算出方法を解説しました。
退職金は原則として婚姻期間中の積立分が財産分与の対象となります。
支給済みか未支給かで取り扱いが異なり、支給済みの場合は手元の残高が、未支給の場合は支給の確実性が判断基準になります。
詳しい計算方法や具体的な状況については、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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